最近のフィットネスのブームにより、 安易な気持ちでアナボリック・ステロイドに手を出す人が増えているそうです。
スポーツ界では基本的にステロイドの使用は禁止されているので、公にする人は少ないですが、ボディビルに関して言えば使用している人がいることは明らかです。
驚異的な肉体を見ると憧れる気持ちもわかりますがね…
アナボリック・ステロイドとは、ステロイドホルモンの総称であり、各機能が強化されたものもありますが筋肉強化だけに働くのではなく、アンドロゲン作用もあります。
代表的な副作用を調べたのでここに記しておきます。
肉体的な副作用
身長(成長)が止まる
体の成長がまだ途中の若者がステロイドを使用した場合、身長などの成長が止まります。
身長を伸ばすには、成長ホルモンやインスリン様成長因子の働きが重要ですが、ステロイドによってグルココルチコイドが過剰に分泌され、増えすぎたグルココルチコイドは、成長ホルモンやインスリン様成長因子ができるのを妨げます。
肝臓の機能障害
アナボリックステロイドを口から摂取すると胃や腸などで吸収され、肝臓を通って血中にたどり着きますが、そのままでは肝臓を通る時に代謝され、大部分は効果を失ってしまいます。
それを防ぐため、一部の経口型ステロイドはアルキル化という処理がされ、肝臓を通過できるようになります。
その副作用として肝臓に負担がかかり機能障害を起こす可能性が高くなります。
では、経口ではない注射タイプのステロイドなら大丈夫か?と思われるかもしれませんが、それでも肝機能障害とは無関係とは言い切れません。
腎臓は体内の毒素や老廃物を濾過して尿として排出する機能があります。
その機能が低下すると、むくみや排尿の障害、血尿などが症状として現れます。
顔が腫れる「ムーンフェイス」もステロイドユーザーの特徴的な症状です。
さらに重症になると尿毒症を併発します。
女性化乳房(Gynecomastia)通称:ガイノ
この症状も有名ですが、女性化乳房とは女性のように胸が膨らんでしまう症状のことです。
ボディビルでステロイドユーザーかどうかを見分ける判断の一つとして、乳首の下にしこりがあるかないかよく話題になりますよね。
正常な男性の体内でも、脂肪組織などに存在している「アロマターゼ」という酵素によって、少量ながらアンドロゲンがエストロゲン(女性ホルモン)に変換されています。
では、なぜ通常の男性が女性化しないのか?
それは少量のエストロゲンは肝臓で代謝され尿として排出されてしまうからです。
- 肝臓が弱っている場合にはエストロゲンを分解・排出できなくなるため、エストロゲンレベルは高くなります。
- 更にステロイド使用後期や使用直後は、体内のアンドロゲンが少ない状態です。
結果、女性の体内のようなホルモンバランスに近くなり、女性化が助長されるというわけです。
しこりが小さいうちは、ステロイドの使用を止めることである程度対処することができますが、大きくなってしまったものは使用をやめても元に戻ることはありません。
外科的な手術をするほかありません。
精巣の機能低下・睾丸の縮小
通常、血中のテストステロンレベルが低くなると、精巣を刺激するホルモンが分泌されます。
しかし、ステロイドによって血中のテストステロンレベルが高いままだと、精巣を刺激するホルモンの分泌が低下します。
刺激を失った精巣は機能が低下し、睾丸の縮小に繋がります。
当然、テストステロンや精子作り出す能力も下がります。
高血圧や心臓肥大
- ステロイドによって善玉コレステロール(HDL)が減少し、悪玉コレステロール(LDL)が増加し、血管の壁を厚くします。
- 肝機能低下により塩分や水分が過剰に溜め込まれ、血流の上昇、血管の圧迫が起きます。
- 心臓も骨格筋と同様、筋肉で出来ているので長期的に使用していると筋肥大を引き起こす可能性が高まります。
これらすべてがが高血圧に繋がります。
赤血球の増加
アナボリック・ステロイドはエリスロポエチンの分泌を増大させる作用があります。
赤血球の生産量が増えるので、結果的に血圧の上昇に繋がります。
ただし、赤血球が増えるということは酸素運搬能力が上昇することになり、有酸素運動を主とする競技者にとって持久力をアップさせる効果にもつながります。
性欲の増大、および減退
ステロイド使用中には性欲が極めて高くなる場合があります。
逆に、サイクル後期の使用量を減らした状態では著しくアンドロゲンが低いので性欲が減退します。
ニキビや吹き出物が増える
アンドロゲンに反応する受容体は皮膚の脂肪線にもあります。
そこに結びつくと皮脂の生産が増え、思春期のようにニキビや吹き出物が出来ます。
脂肪線の多い胸や肩や背中などに多く見られます。
薄毛になる
薄毛になる直接の原因はジヒドロテストステロンですが、これはテストステロンが5-α還元酵素と結びつくことで作られます。
ジヒドロテストステロンの特徴を持ったがアナボリック・ステロイドを使用すれば当然ですが、避けたとしても5-α還元酵素によって作り出されてしまうのです。
アレルギー症状
ステロイド自体にアレルギー反応を示す人もいます。
かゆみや動悸、呼吸困難などの症状が出る場合があります。
精神的な副作用
攻撃性の増大 通称:ロイドレイジ
よく聞くのは性格の変化「ロイドレイジ」です。
アンドロゲンの作用は骨格筋だけではなく、脳にも影響を及ぼします。
そのため、ステロイドの量が多いほどその変化も大きくなります。
- 闘争力や攻撃性の増大
- 妄想症
- うつ状態
- 幻覚
などを引き起こします。
アルコールと結びついた場合は爆発的に攻撃性が上がることがあるので、社会生活ではネックになりますね。
うつ症状
ステロイド使用後期や使用直後は、体内のアンドロゲンが少なくなります。
その時はうつ症状やネガティブな感情が強くなります。
男性の更年期障害(LOH症候群)もテストステロン値の低下が主な原因であり、同じような状態となります。
やっぱ怖いし
ざっと調べてみましたが、こんなに多くの副作用が考えられます。
症状が出るか出ないかは、その人の体質が強く関係します。
専門的な知識がない状態で、安易に使用するのはやめたほうが良いですね。
よーく考えてくださいね。
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