愛用のベックマンを履いて資格試験の会場に向かう最中、足元から泡が出ていることに気づきました。
はっ?と思ってソールを見てみるとゴムがベロベロになっているじゃあないですか。
その日は小雨が降っていたので、道路に溜まった雨が破れたゴムを通過し、ソールの革の部分にまで浸み込んでしまっていたんです。
それが歩く度にぐちゅぐちゅなって、泡立っちゃってたんですよね。
とりあえず、その日は雨を避けながら帰り、よく乾かし事なきを得ましたが…。
そうなった靴底の状況はこちら↓
特に左側がひどい状況です。
ガシガシ履いてはいましたが、履きっぱなしというわけでもなかったので、もうそろそろ変えなきゃな〜くらいにしか思っていませんでした。
それが既にこんな状況になっているとは。
想定外でした。
ベックマンのこの症状はあるあるらしいですが、多分この加水分解というやつは急に来るんだと思う。思いたい。(ベックマンの純正はゴムではなくウレタンらしい)
ソールの張替え
私は元々ブーツが好きで、安物をいくつか履いていましたが、10年ほど前にこのレッドウイングのベックマンを買いました。
そこそこ値が張る革靴は大体ソールが交換できるような作りになっているので、メンテなり修理をしながらほぼ一生履くことが出来ます。
そこが良いですよね。
このベックマンもグッドイヤーウェルト製法で作られているので、靴底はまるっと交換できます。
が、問題はどこで直すかという事です。
靴を直す場合はメーカー、専門ショップ、街のリペアショップが候補に上がります。
最初はゴム部分だけ交換すれば良いと考えていたんですが、ベックマンの構造上ゴムソールがついている革の部分のダメージも大きそうです。
なのでどこまで直すかも相談したかったので店選びは悩みました。
オールソールとなると街のリペアショップでは対応できないので、頼むとなるとメーカー、専門ショップのどちらかになります。
まずメーカーですが、クオリティはある程度安心できるんですが、持ち込み先が直営と取扱店の二択というところに不安があります(郵送もあるが相談できなそうなので却下)。
これは完全な偏見ですが、販売店で受付をしてくれる方は接客や商品説明に特化していて、修理の方法や細かい構造などには詳しくない傾向があるんですよね。
私としては修理する方法だとか、構造がこうなっているからここは直した方がいいとか、要は職人的な目線の話をしてくれる方が安心できるので、取扱店だとまずそれは無理だなと。
まだ直営店ならそういったマニアックな人が対応してくれるかもしれませんが、距離が遠いのがネックです。
で次は専門ショップですよ。
レッドウイングやその他のブーツを直してくれる専門ショップは色々ありますが、やっぱりどこも遠いんですよね。
オンラインのみのところもありましたが、価格が安い点はすごくいい。しかし、とにかく納期がかかるとのこと。
数ヶ月かかるのはちょっと我慢できないので私は見送りました。
品質はそこそこいいらしいですが、個人的にどんな人が直すのか分からない所も若干の不安が残るし、いくら安いと言っても普通の靴ならもう一足買えるくらいの費用が掛かるので、納得できるところに出したいですからね。
そんな中、googlemapで検索すると割と近くに小規模にやっている感じの店を発見しました。
「一人の職人が責任を持って修理にあたる。」というコンセプトで、正に自分の希望するスタイルのショップです。
さっそく連絡を取って靴を持ち込みましたが、敷地には海上コンテナを改造した作業場があり、中には靴用の設備が収まって良い感じです。実際に修理を終えた靴もいくつかあったので、見せてもらいましたが、どれも丁寧な仕事で胸が躍りました。
代表は雰囲気のある方で、修理方法からカスタムまで色々とアドバイスをくれたり、本当にブーツが好きなんだろうなぁ。という感じが伝わってきて、とても興味深く話をさせていただきました。
やはり、こういう職人気質の人に直してもらいたいんですよね。
実はその時初めて知りましたが、オールソール交換なら別の種類のソールにも変更できるんですね。
最初は純正と同じようなハーフソールタイプしかないと思ってたんですが、アイリッシュセッターのようなヒールが分割されていない一体型の物も選べるし、全体がゴムでもヒールが分割されている物、色も複数、中に繊維が入っている物など色々あると。
驚きでした。
ソールはいくつか在庫があったので、自分の靴と重ねながら吟味して、あれやこれや見比べて、結局白っぽいラバーソールに決めました。
変わり種的なモスグリーン色もあったのですが、それがまた意外と合いそうな感じで最後まで悩んだり、そんな悩んでいる時間も楽しいものです。
そして、待望の完成後がこちら。
元のベックマンのゴムと革が交互になっているスタイルも上品でとても好きだったんですが、いいショップを見つけたので、せっかくならガラッとイメージを変えてみよう。
そう思ったんですね。
websiteに書いてあったカスタムっていうのはこういう事を言っていたんだなと、また一つ世界が広がりました。
バイクに乗るのでヒールが分かれているタイプの方が何かと都合が良いです。
そして、修理に出す前に確認したんですが、オールソール交換だと、この周りのステッチも縫い直す事になります。
で、履いた時に見えるこの部分の革は基本交換しないので、既に開いている穴に針を通さなくてはならないわけです。
この穴と新たな縫い目が合わないと、既設の穴と新規の穴が混在して、下手をすると穴が繋がってしまう事があるという事ですね。
まぁこんなところ気にするのは履いている本人だけで、強度的にも数回縫い直したところでどうなる問題ではないと思いますが、私としては気になるんですよ。
だから、この既設の穴に縫い直しの針を落とせるかどうかという話になるわけですが、ミシンをかける時は靴を裏返して縫うそうです。
えっ?
じゃあ一番最初に開ける穴位置とミシンのピッチ調整(できるのかは知らない)や縫う位置次第になるわけじゃないですか、それは単純に職人の腕よるわけですよ。
あいにく縫う工程は特殊なミシンを使うので外注しているそうですが、そこもいくつか取引をして腕のいい所に出していると言うので安心感がありました。
ただ本当に穴が合うかどうかは運要素もあるので、合っていればラッキーくらいに考えた方が良いそうです。
そして私のベックマンはと言うと…
バッチリ合っていました。
出来上がりを受け取った時は、ステッチの穴の事もありますが、その全体的な出来栄えに感動したわけですよ。
そもそも自分のブーツの修理をする事自体そんなに多くあるわけではないですが、その中で良いショップに出会える確率は高くないと思います。
さらにカスタムをしてくれる所は少ないですよね。
本当にATELIER BELLにお願いしてよかったと思います。
SADDLE UP BOOTS CREAM
ちなみに受取りの際にいい感じのツヤになっていたので聞いてみたんですが、おすすめのブーツクリームを教えてもらいました。
それがこれ。
さっそく買ってみました。
革製品好きなら一度は目にしているであろうモゥブレィのクリームでした。
薄く塗り伸ばして柔らかい布で磨くだけでOKです。
傷も目立たなくなるし、艶がでる。
色も複数あるので自分の靴に合った色を選んでください。
日々のメンテや艶出しなどはこれで良さそう。
雨に濡れたりしたとのオイル補給はブーツオイルかな。
とにかく、今回の満足度は高いです。
他のブーツも修理することがあれば、またお願いしようと思っています。
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